企画・制作・発行 株式会社ブロックス
監修 株式会社ベルウェイ研究所 株式会社オーディーエム
SHOP DATA SHEET
2000.3.MARCH Vol.36
隠さない、だから売れる!
繁盛を支える公正・公正・誠実のマーケティング
このお店から学びたい POINT
1.商品とは「価格のパッケージ」(VALUE PACKAGE)
2.自立と共同
事例店研究
ひまわりコーポレーションの概要
「ひまわりコーポレーション」の商談時間は非常に短い。まるで家電店やアパレルのようにどんどん売れていく。その一番の理由は「値段交渉の時間がない」こと。「一切値引きなし」のスタンスに怒って帰るお客様もいるそうだが、実に明快なシステムだ。しかしこれは勇気のいる決断。一朝一夕に出来ることではない。
企業の沿革
大阪の中古車専門店「ひまわりコーポレーション」は競合が乱立する激戦区の中で年々業績を拡大、営業一人あたり3億円も売るという注目の繁盛店。新規客のみならず何度もここで購入する熱狂的なファンも多いこの店のモットーは「正直な商い」。顧客を公平にと1円の値引きもしないフェアプライス制度、いかなる理由でも応じる返品返金制度、隠れたキズや小さな凹みも包み隠さず全部見せる情報表示制度など、お客様に対する徹底した「透明さ」が人気の秘密。親身なアフターケアにも信頼が高まり、リピート比率も業界トップクラス。また、店舗をブロックに区切りそれぞれに仕入から販売一切を任せる社員を配置する「一人分社制度」は社員のやる気を高め、さらに顧客本位でキメ細かい商いを実現。一人分社は”商人”を育み爆発的販売力の基盤をつくる。効率販売を実施した同社の経営システムを解剖する。
会社プロフィール
会社の地図
ひまわりコーポレーションのポリシー
ホームページでは、店頭の看板やセールス時のガイドブックなどで自社のポリシーを宣言しお客様にアピールする一方で、常に自らを律している。
ひまわりコーポレーション ポリシー
消費者の不安へのひまわりの対応
@スタッフの不安
担当者への勉強会を実施したり、身だしなみや言葉づかいも方針書などで確認している。また「見るだけシール」などに象徴されるように無理な販売は行わず、お客様の買い物をフォローするという姿勢で対応している。
A店への不安
企業姿勢をお客様の見えることろに掲示するとともに、展示場や展示車の清掃には徹底的に気を配る。さらに派手な装飾などを押さえるなど総合的な店舗イメージをコントロールしている。
B価格への不安
新車時の価格や諸費用や手数料、金利に関するデータなどユーザーに客観性のある情報を提示(クルマに掲載)するほか、商談テーブルにおかれたコンピューターにより中古車相場情報を検索するなどの対応を展開。
C品質への不安
まず基本として修復歴のあるクルマを仕入れない。また仕入れるクルマは前ユーザーの名前や住所などが確認できるもの。修復歴車でなくてもフェンダー、ドア、ボンネットなどに部品交換歴があるクルマは全てその情報を表示、走行キロの確認票やクルマの状態は全て資料で表示をしている。また取扱説明書も全ユーザーに渡す。
Dアフターサービスへの不安
ひまわりでは新車登録3年以内の車検付きのクルマはすべて新車保証サービスが継承されるよう手続を行い、さらに納車日から1年以内のトラブル保証など独自の保証も設けている。また「返品返金制度」を設定し2週間以内で販売時の車輌状態であればいかなる理由でも返品返金又は交換に応じている。
ひまわりコーポレーションの各種ツール
それぞれの車輌に掲示されている様々なツール。どんな情報も全て公開、消費者の不安を解消する努力がなされている。担当者の名前を明記し、車輌の状態や品質を一目でわかるようにした「安心ステッカー」や小さなキズやお客様の目に触れない箇所までの情報を表示し、業者間取引にも利用する「評価シート」(日本カーズ・コム)などのほかに、「買取10(テン)シート」などがある。記入目的は価格の透明性です。また、声をかけてもらいたくない、自由に見たいと思うお客様に付けてもらう「今日は見るだけシール」などのユニークな試みもある。
「生涯のおつきあい」を目指す、売る前、売る時、売った後のサービス
ひまわりコーポレーションでは「売る前のサービス」として@品揃えの良さA価格の納得性B良い品質の選択C品質データ表示D広告・宣伝・販促を「売る時のサービス」では@サービス精神A環境整備B礼儀正しい応対、「売った後のサービス」としては@コンサルタントサービスA保証期間の意義と取組みの姿勢B保証修理サービスC苦情に対する姿勢D返品返金制度などを重点方針として掲げ、徹底している。特に新規のご来店から購入、購入後と20種類を超えるハガキが用意されており、年間10枚近くお客様に届く。購入お礼や点検や車検の案内といった一般的なものから、エンジンオイルの知識や免許証の期限切れを教えるもの、保証期間の期限のご案内など、単に売ることだけを考えたものではないお客様に役立つ内容のハガキが、担当者の一筆を添えて出される。
経営方針書「Himawari Way」
ひまわりコーポレーションの経営姿勢は「力をあわせて共に成長していく集団をめざす。」というもの。全員が主役という考え方の中、社長の報酬も公開するオープン経営を貫き、まさに一人ひとりが独立した経営者であり、自らが主役になれるという「一人分社制度」を実践している。ひまわりの経営は誰がどれだけ稼ぎ、何をどれだけやればどんな成果がでるのかなど、全て論理的なルールとなって社員に浸透している。
その考え方をまとめたのが「Himawari Way」と呼ばれる経営方針書。経営姿勢(オープン経営、一人分社経営、成果配分経営)にはじまり、販売の基本姿勢、個別方針、未来ビジョンまで120ページほどの資料となっている。
仕入から販売まで、すべてを任せる一人分社制度
同社の300台ある展示場は担当者ごとに「ブース」と呼ばれるブロックに区切られていて、仕入から販売、さらに掃除や車輌管理までまさに「自分の店舗」という感覚で管理されている。右記の図はブースの区切りが示されている図でブースの範囲が、店舗を超えて道路や店の裏側までを網羅してあるのがポイント。車輌だけではなく店の前の道路の環境整備までがそれぞれの責任範囲だという考え方だ。
この店から学びたい POINT
1.商品とは「価値のパッケージ」(VALUE PACKAGE)
”ひまわりコーポレーション”のすばらしさを一言で表現すれば、「商っている商品をお客様の視点から見ることができること」というべきでしょう。売る側に立つと、なかなかできないことの一つです。お客の立場であれば誰しも感じる不安や不快、どうしても我慢できないことがどうして売る側に立ったとたんにわからなくなるのでしょうか?もっとも自分が商っている商品を、他所で購入する経緯は大変少ないのですから仕方がないのかもしれません。
中古車を買うときに、われわれが感じる「不安」はビデオに紹介されていたように、まさに「品質への不安」「価格への不安」、そして「保証への不安」です。中古車という商品は、新車と同じく「自動車」であるには違いなのですが、その「自動車」という”中核となる商品便益”のまわりに、これら3つの不安が”附加要素”として貼りついている商品なのです。言い方を変えますと、中古車にお客様が求めるものは、もちろん「自動車」そのものもありますが、それと同時に「故障しない品質の良さ」や「ごまかしのない妥当な価格」、さらに「万一の時のバックアップ体制」がパッケージになったものなのです。このひとかたまりのパッケージを、お客様は求めているのです。中古車の場合、車種などは欲しいものが決まっていることが多いようですから、ひょっとするとこのまわりに貼りついた附加要素のほうが購入に大きな影響を与えることになるのかもしれません。新車にもこの要素は貼りついていますが、「新品」であるぶん比較にならないほど軽いわけです。「まさか日本の新車が簡単に故障するわけはない...」「新車ディーラーによって保証に違いがあるはずがない...」「新車価格は値引き交渉次第だ...」このように商品とは「いくつかの価値(お客様にとっての)を束ねたもの」、「価値をパッケージした固まり」なのです。マーケティングではこれを「価値のパッケージ」(VALUE PACKAGE)、あるいは「便益の束」(BENEFIT BUNDLE)と呼びます。
何が束ねられているかを見抜くのが商売の真骨頂です。その束ねられた価値の重みを図るのもまた商売のポイントになるでしょう。新車の時とは比較できないくらい重みを持った3つの価値への着目が”ひまわりコーポレーション”の商売の根幹にあると言うべきでしょう。
POINT
1)商品には目に見えない「価値」が貼りついている
2)お客様の立場に立たないとこの貼りついた「価値」が見えない
3)同じ「モノ」でも貼りついた「価値」によって売り方が異なる
4)「購入時の不安、不快、不便」は比較的分かりやすい貼付物
※フィリップ・コトラー「マーケティング原理」村田昭治監修・和田充夫・上原征彦訳/ダイヤモンド社
2.自立と共同
従業者にとって、自分一人では実現できないことを実現するための装置が「会社」です。企業の社会的な価値もそこにあります。SOHOも結構ですが、共同創造(コラボレーション)を前提にしないその社会価値はどうしても一定のレベルを超えないようです。
”ひまわりコーポレーション”にはインターネット時代にふさわしい「自立と共同」の仕組があるといえるでしょう。人を自立させることと、孤立させることは異なる行為です。自立を促すもっとも古典的で効果的なやり方は、「自分の稼ぐ喜びを体験させる」ことです。自分の目で選んだ商品を仕入れ、店頭に陳列し、値付けし、説明や接客をして販売する。買って頂いた商品に責任を持つ。さらにお客様とコミュニケーションを持つ。これらすべてに責任を持つのが商いです。責任は商売の難しさを教えます。しかしそれが達成されたとき、誰しも大きな喜びを感じるものです。商品が売れた喜びは何よりもビジネスマンを育てるものです。
商うことの楽しさが、1人のビジネスを育て、やがてそれら1人のビジネスを束ねる会社を育てるのでしょう。”ひまわりコーポレーション”のすばらしさがここにあります。
組織のすばらしさは、個人の力を補うことにあります。どう個人を支援するか、が今日の経営管理の重要な一側面となっていると言って過言ではないでしょう。
しかしかなりばらついた嗜好や、画一的な定規では測定できない多分野に関わる能力をどう支援するか?これは企業にとって実に難しい問題でもあります。個人を支援するしくみを上手く作り出せた会社と、そうであい会社では明らかに業績に大きな差が出ることでしょう。それは”ひまわりコーポレーション”を見れば明らかでしょう。
個人を支援する仕組を具体的に”ひまわりコーポレーション”に探ってみましょう。
個のビジネスを支援するしくみ
1)原則として「個人の競争」の前提とする
2)しかし戦い方の根幹となる方法(武器)は共有する
3)その武器を相互に点検させ、より高度なものへとブラッシュアップさせる
4)仕事のプロセスの遂行度合い、結果業績を常に自分で確認しながら進めるようにさせる
5)特に利益はコンピュータで機械的に算出せず、手を使って計算し確認させる
6)価格交渉の手間を省き、それへの関心を取り除く
7)結果的に顧客を志向したサービスを徹底して充実させる
8)会社としての理念(お客様や商売の捉え方)を時間をかけ、入念に共有する努力を継続する
インターネットの世界が目前になっています。お客様はネットを通じて高品質で大量の「情報を」集めることができるようになりつつあります。売る側と買う側の視線が同じ高さになりつつあります。特に「スペック比較」で購入される「中古車」「不動産」などの商品分野では、作為のない直球勝負のビジネススタンスが重要なものとなっていくことでしょう。
POINT
1)バックヤードシステムを見習おう
2)見せる管理が基本
3)それも「プロセス(過程)」を見せること
4)しかしすべて「やれるかどうかは組織の問題」