池田氏より
豊田社長については、先程ビデオを見て頂いたので大体のことは皆さんお分かり頂いたと思います。株式会社ひまわりコーポレーションの社長である豊田昭博社長でございます。豊田昭博氏は昭和25年生まれの広島県出身です。まあ、私も前から存じているのですが、ひまわりコーポレーションの真似はなかなかできない、というのがぶっちゃげた話でございます。この本(一人2億3千万円〜)も然り、本当にすべてのことを教えて頂ける、公開して頂けるのですがなかなかたいへんなことでございます。経営を考えに考え抜く、まさに脳に汗をかく、そういう表現が的確かと思います。考え、実践し、行動できるというのが本にも書かれておりますが、常に努力を惜しまない方でございます。トイレ掃除の実践など、そこから商売は始まるのだということなど、話せばきりがないほどに実践され、行動されている方でございます。今日はそんなあたりをすべて公開して頂けると思いますのでどうぞご期待ください。
IFC在庫共有であるGAN(グローバルオートネット)の委員長であります氏田耕吉氏です。彼も昭和25年生まれのちょうど50歳、大阪の出身です。大阪府内に4拠点、主に輸入中古車の販売をしておられます。豊田さんとは、20年来の友人であるというか、よきライバルであります。さて、今日はどんな話になるのか楽しみでございますが、一皮むけるものとなるのは間違いございません。今日の公開セミナー、『よかったなあ!』ではなく、出てきた内容はどんどん盗んでくださいということですので皆さんの中古車販売に結び付けて頂ければ、このセミナー、たいへん成功したということになります。ではお二人様どうぞよろしくお願い申し上げます。

氏田氏
今日はIFCから、私が出て皆さんの前で豊田さんとお話をさせて頂くわけですが、豊田さんとはそうですね、先程にお話が出ていましたとおり、20年来のつきあいがあります。年もいっしょということもあり、いろんな話を交わしてきました。私にとって友人とかライバルとかいうのではなく、師匠であるといえますね。まあ、それくらい考えに考えてされている豊田さんです。髪の毛が真っ白になるくらい考えつづけている人だと思います。
去年の12月にこの本(一人2億3千万円〜)を高根沢さんという人が書きました。皆さんの手元に行っていると思います。まあ、この本を読んだら豊田さんがやっていること、ひまわりコーポレーションのことはわかるんです。今日の公開セミナーもそうです、聞いたら分かる。でも、私いつも言ってることなんですが、例えばですね、こういうふうに木が立っているとする、この木には見た目、葉があり、花も咲いていて枝ぶりもわかるわけです。見た目に分かるわけですから、この木と同じようなものを探すことはできるんです。真似ができる。でも、地面の下に埋まっているこの木の根っこの部分は見えませんよね。これをみんなは勘違いしてしまうんです。実はこの見えない部分が一番大事なんですね。根っこが分からないと真似しても失敗するんですよ。まあ、そんなことが言えますから、今日は彼と対談させて頂くうえで、上の枝葉の部分はこの本を読んで頂ければわかるわけですから、根っこの部分を聞き出すようなことができればと思っています。ここに書いていることをいきなり真似したら、えらいことになるんですよ。よく根っこの部分まで知ってから、やっていかないといけない。そう思うんです。では、豊田さん今日はよろしくお願いします。まずですね、IFCのメンバーから出ていた聞いて欲しいことであったんですが、どうしたら社員のやる気が出るのか?それをお話頂けますか?今日は社長さんたちも社員の方々もいらっしゃると思いますが、1社会人として、クルマを販売しているものとして、勉強だということでお聞き頂ければと思います。どうしたら、社員さんのやる気、社長自身のやる気が出るのか? これをお聞きしたいと思います。

豊田
豊田です。よろしくお願いします。このひまわりコーポレーションのビデオガイドにもありますが、私どもは13名の社員でやっております。アルバイトを入れて15名ほど、その程度の会社です。社員ともども私達は毎日が楽しくて仕方がない、経営姿勢として『おもしろ楽しく、力を合わせて共に成長していく集団をめざす』となっています。楽しくやらなければやる気は出てこないですね。やる気は自らやることでてくるものだと思います。お手元の資料に"Q日報"というものがあると思います。これはうちの細川さんという社員の日報です。これをみて頂くといろいろな項目がありますが、これは常に変わっていきます。日報というものは、自分が今どの位置にいるのかを知る、現状認識の役割と結果が表されているものです。ですから、計画や目標は自ら決定していかないと意味がありません。この日報を毎日作成をし、最終的に集計して自分の成果を分析するんです。
日報の項目の中に"CXL"というのがあります。これは販売キャンセルになったというものであります。報告をするという意味もありますが、キャンセルを気持ちよく受け付けることでその後、販売に結びつくということが多いので、 日報に入れ、評価しています。トイレの清掃もあります。トイレの清掃などは車の販売にはあまり関係ないと思いがちですが、とても重要なことでありますので、入れております。また、展示車不足台数というのがありますが、これは自分のブース(在庫管理エリア)に展示車が不足している場合につけます。社員は仕入も販売もすべて行ないます。地代は月に700万円もかかっているので、少しでも無駄なくやるために不足台数をつけているわけです。たとえば、25台入るブースに24台しか入っていない場合は、不足1台となります。これら、日報の結果は、そのまま賞与になります。賞与を決めるための評価が日報により決まります。クルマを販売するには商人精神が必要です。サラリーマンは時間を売っていますが、それは商人とはまったく違うのです。商人としてやってもらうそんな仕組みが必要なのだと思います。
経営者として、永遠のテーマと言える社員のやる気ですが、経営者というのは大体にやる気がありますね。やる気がない経営者はあまりいない。しかし、社員も本当は同じようにやる気があるんです。それを出してもらう仕組みができているか、どうかで社員のやる気が大きくかわるのだと思います。そのためには"やり場"を整備しなければなりません。"やり場"とは会社です。会社とは一人ではできないことを実現していく装置です。これを整備しないといけない、またその中での"やり方"を決めないといけないと思います。これは会社の責任であるともいえます。そのためにはすべてのこと、根っこから木全体のことを書いたものにして、渡すのが一番でしょう。なかなか一度にはかけるものではありませんが、少しづつ書いていけば、やがてすべてのことを網羅できるようになります。これは私どものルールが書いております『ひまわりWAY』というものです。私どもは1975年に創業したのですが、その頃からちょっとづつ書いてまいりました。今は100ページ以上にもなりましたが、これを毎年書き換えていくことで、決して後戻りしないルールを構築できたと思います。この中には報酬や賞与のことは当然、書かれております。ルールとしてですね。がんばったら、賞与だすぞ!ではなく、がんばたっらどれだけ賞与出すぞ!としないとやる気は出ないのではないでしょうか? マラソンでもゴールがあるから走れるのであって、ゴールはどこにあるか分からないけど、走ろう。では誰も走らないですよね。そのように、やる気を出してもらうには、ルールがいります。このような考え方があります。行動+成果=価値 行動を起こし、成果を出す、結果価値ある社員だと思う。これが通常の考え方です。しかし、これでは行動したけど成果が上がらなければ価値がない社員だということになります。これでは社員はやる気が出てこない。だからこう考えるべきだと思います。価値+行動=成果 これは価値ある社員が行動をする。それにより、成果が出てくるということです。このように考え、接しなければ社員はやる気を出しません。成果が出ないこともあるかもしれませんが、価値ある社員を採用しているのでから、成果は必ず出てくると考えるのです。このように考え、先程のルールを書いて渡すということをするのです。イヤイヤやる効果を1としますと、納得してやる場合は1.6倍となるそうです。これは実験をした先生がいるそうです。さらに自らやる場合は1.6の2乗となります。2.56倍となるわけです。ほぼ3倍といえます。これが商人の力です。中小企業は商人の集団でないとやっていけないと思います。
社員には自立(他の援助や支配を受けず自分の力で身を立てること)、自律(自分で自分の行為を規制すること)、自発(自ら進んで行うこと)をしてもらわなくてはいけません。クルマの販売というのはとてもたくさんの業務があります。仕入もその1つですが、新人から積極的に行なってもらいます。勇気のいることですが10年かかるものを3週間で覚えさそうとすると必要なことです。10年かかるものを3週間で身に付けることができると、一見危うく見えても、その後の効果(利益)は大きくなるわけです。社員自身も必死にデータを集め、仕入れてきますから、大きな損はしないものです。それよりも、社長が仕入に行くほうが危険なのです。なぜかといえば、社長は最も能力もやる気もあるわけですが、1/10の力しか仕入に注げない。仕入に行っても、資金繰りや他様々なことを考えている。これでは、新人の仕入だけを考えてきている社員の方に負けてしまうわけです。ですから、新入社員も仕入に行ってもらって、早く稼げる社員になってもらうのが社員自身にも会社にも有益なことだと思うのです。ひまわりコーポレーションは全員で仕入をやっていますので、お客様に売れたときの喜びは営業だけをやっているときよりも、大きいと彼らは言います。忙しくてたいへんでも自らやると疲れないし、楽しいんだと思います。そのやり場、やり方を提供できるかどうかは経営者にかかっているんだと思います。また、21世紀は評価の時代だと言われています。あらゆることがものすごく評価され、評価していくことになります。評価するにはツール(道具)がいります。それが日報であったり、ルールであるわけです。月々の報酬(給与)を決めるのにも評価をしなければなりませんが、私達経営者も社員も方向性は同じなんです。報酬は利益の中の構成要素ですから、たくさん報酬を払えるということは、たくさん儲かるということなのです。経営者と社員は対立なんかしていません。いっしょに儲けていくパートナーなんですから。報酬をちょっとでも安く払うほうがいいと考えると悪い方向へ向かうと思います。報酬は報(むくいる)酬(むくいる)と書きますから、むくいるべきです。むくいるには測定をきちんとするべきであり、商人(あきんど)の測定は利益で測定(評価)をするのがもっとも良いのではないでしょうか? 社員の共通の望みは『安定と向上』です。これは会社も同じことが言えますが、安定と向上というのは矛盾してるんです。良いときも悪いときも、多く欲しいということですから。これらをうまくルールづくりをして合理性と納得性のあるものを作らなければなりません。やったら、こうなりますよというものです。すべてオープンにしてです。また衡平に配分することも大事です。衡平とは『つりあっている』状態をいいます。自分が出したコストにみあった利益、これが衡平になっていないと長続きしないのです。

氏田氏
どうしたら、やる気が出るか? 彼曰く人の性善説をみて、やれる環境を与えれば人はやるということを言ってるのだと思います。要するに我々、クルマ販売の場合は仕入から、販売までのすべてを社長がやっているように社員一人一人にもそれをさせることにより、やる気を引き出せるということ。その環境作りのためには、ルールや仕組みを書いたものがないといけないということですね。あのひまわりWAYも昔はとても薄かったように記憶しておりますが、たいへん分厚くなってきている。このような仕組みづくりを重要視しているということですね。いくら稼いだから成果配分で多くの報酬を得れる、それは青天井でいくらでもやりがいがあるというものです。年功序列で行くと会社は儲かっていなくても出さなければならない。これでは会社がストレスであります。豊田さんは会社が儲かってれば、より多くの報酬を出し、報酬が多ければ多いほど会社も儲かる。そういう仕組みをつくっているわけです。私の会社も仕入評価、販売評価、業販評価ということをしております。それを給与や賞与を決定する指針にしております。豊田さんに評価の話を聞いて、うちなりにアレンジして行なっているのですが、あるとき同業者の人に氏田さんところの給与の評価教えてくれよと言われた。でも教えても、それはそのまま使えませんよね。なぜかと言えば評価の仕方、やっていること、項目が違うわけですから。違うわけだからやったことを数字に置き換えれませんよね。豊田さんは会社としてやってほしいことを項目にして、日報にして、それで評価をしているわけです。ですから、その項目を先にはっきりして、自社なりのルール作りをしてから、はじめれるんですよ。それから豊田さんの評価の方法も聞くたびに進化していっていますから、元を知っていないと何のことだかわからなくなります。ひまわりコーポレーションでは、基本給と能力給以外の手当てはありません。例えば家族手当とか交通費とかそういうものはないそうです。なぜかと言えば、全員一人一人が社員なのですから子供がいるから、給与が多くなる。そんなことはないからなんですよ。そういうところはすべて、一人分社経営という一人一人が社長だということから来ているようです。一人分社のことが少しわからないと、理解できないと思いますので、豊田さん、一人分社の考え方をちょっと話してもらえませんか?マネージメントゲームのことも。

豊田
会計の先生に西順一郎先生という方がいらっしゃいます。この方が考え出された戦略会計というものがあります。企業には5つの要素で経営がされているというシンプルかつ奥深いものがあります。この戦略会計の考え方を導入しているのが、ひまわりコーポレーションでありまして、
11名の社員で一人一人が損益書を持ってマネージメントごっこをしてやっているわけです。月末に損益書を私のところに提出するのが彼らの仕事です。このやり方はですね、『管理がいらない管理をする。』ということであります。管理というのは"責任を持ってめんどうを見る"ということです。それでは、何日管理をすれば『管理がいらない管理』ができるかというと、21日間管理すればこれが実現できます。21日というのは習慣付けるためのものです。どんなことでも21日間きっちりと行なうことを見ておけば、習慣になりますからできるようになります。あたらしいことを始める際にも21日間めんどうを見れば、習慣化しできるようになるのです。もちろんツールは必要ですよ。21日間というのはある先生がいっている証明されたことですので、確証があります。また、この21日間に徹底することは、『今日の仕事は今日する』ということだけです。これを徹底してやってもらうのです。決して次の日に伸ばさない。これは非常に大事なことですので、再度言います。『今日の仕事は今日する。』これで、どんなことでも続けれるようになります。習慣化するということですね。習慣化すると自らするということになるんです。一人分社を実現するためにはこの習慣化を徹底させ、自らの力を最大限に引き出します。一人の社員の在庫は自分のブースを確保し、その店の社長となり稼ぎを追いかけるわけです。それぞれ、個性がありますから、買取が得意な人もいれば販売が得意な人もいます。お互いの成績はすべてオープンですから、人のいいところを真似て自分のものにして稼ごうとする良い刺激もあるんですね。すべて、自分がやるわけですから、売り買いも自分の決定でやるので、自ら判断できる最高責任者であるわけです。やらされる仕事でないので、楽しいはずです。逆にうまくやらないと稼げないので、報酬は少なくなりますね。また、稼ぎ6ヶ月間でトップになった人は、リーダーと呼ばれ、他のバックアップも行なったりします。リーダーは賞与のときに評価以外に10万円多くもらえるんです。リーダーになるのに古い新しいはありません。入ってきてすぐにでもトップであればリーダーになれます。一番上手な人が他の人にそれを教えるような考え方です。これは説明しやすいし、自然なことだと思います。評価の説明はなにも問題ありません。全部オープンにできます。この一人分社が実現できれば、先程からテーマになっている"やる気"を気にする必要はありません。自分で自ら行なうのですから。同じルール(やり方)で自立(自らやる)する。これがこれから大きな力を持ってくるものになるのではと思っております。とくにインターネットの情報時代には主流になるやり方であると私は思います。これらは一見、難しく思いますが、自立と共同はコツコツやることで実現できます。

氏田氏
この一人分社はたいへん奥深いものです。マネージメントゲームを彼は徹底的に勉強して自分のものにしました。さらに商売に使えるまでに研究したんです。そこまで考えきれる力はすばらしいですね。ビジネス以外になにもいらない。ビジネス以上に楽しいことはないという彼ですから、このようなことができたのだろうとおもいます。徹底的に研究し編み出したものですから、真似をしてできるものではないのかもしれませんが、社員に"やる気"を起こしてもらう方法のヒントになると思います。そのようにお聞き頂ければと思います。そのような意味で今後の戦略というか、商売をしていく上での考えかたをどう思っているのかちょっと聞いて見ましょうか。そのあたりをお願い致します。

豊田
今日は皆さんと共に私も勉強させて頂いているのですが、これからは"共に勝つ"ということを考えなくては、やるべきことを貫徹できないのではないでしょうか? 共に勝つとは、お客様と同業者と自社の3つです。近くの同業者が倒産してよかった。ではないのです。共に勝てるような考え方で、成長していかなくてはいけないのではないでしょうか?このようなすばらしいグループもそうです。共に成長していくのが目的です。みんなで決めたことを徹底して本気でやりつづける。これはこれから大きな力を持ってくることになるでしょう。また、いろいろな戦略がありますが、私どもひまわりコーポレーションでは、このような戦略を心がけています。新しいお客様に買って頂くことと繰り返し買って頂くことです。この2つを継続的にしつづけます。どうしても新しいお客様に買って頂く戦略に偏りがちになってしまう私達ですが、ここに大きな問題があります。実は繰り返し買って頂くことは、新しいお客様に買って頂くことの実に1/5の力でできるというデータがあります。これはものすごいことです。また、コスト面でも1/5なのですから2台目を買って頂く戦略を重要視しなければなりません。新しいお客様を集めることよりも繰り返しのお客様に買って頂くほうが効率が5倍も高いのですから。実際にひまわりコーポレーションではこの戦略に重点を以前から取ってきています。ですから、代替が多い要因になっているのだと思います。それから、基本的なやり方の1つに『値引きをしない』ということがあります。ひまわりコーポレーションは創業当時から、値引きは絶対にしません。諸経費まできっちりと頂きます。値引きしないのを誇りにしている会社ですから、これからもずっと続けるつもりです。値引きしないことで、効果的なことは数限りなくあります。まず第1にお客様の信頼を得ることができます。値引きをするといつまでたっても信頼を得れません。これは大事なことで、適正価格を常に貼るという意識でやり、これで売るんだという強い意志で可能になります。第2に商談がスムーズに進みます。値段交渉はないわけですから、早いです。その代わりに支払いのクレジットなどは親身になってお客様のためになるようアドバイスを差し上げます。第3に社員が自信を持ちます。自分の価格付けをしたクルマが定価で売れていくわけですから、何事にも換えがたい喜びと自信が生まれるのです。価格交渉でお客様をねじ伏せてもこのような気持ちは体験できないと思います。このように値引きをしないということはたくさんの効果があります。新車と比べ、中古車はより定価販売に適した商品であると言ってもいいでしょう。
これに関連してですが、どのように定価を決定していくかをお話します。基本的に価格は仕入れてきた者がつけますが、ここで大事なことがあります。"原価を忘れる"ということです。あらゆる業種業態がありますが、唯一、原価を忘れて成功するのが中古車ビジネスであるといえます。その他は原価意識を持てといいますね。中古車は原価意識をもつと失敗するんです。理由はこうです。まず今日、仕入れてきたクルマがあるとします、オークションで仕入れてきたとすると、その仕入価格の適正は今日だけのものです。帳簿上の価格はそのままの価格ですが、日時の経過と共にそのクルマの価値は確実に下がっていきます。どんどん下がっていく、これが中古車の怖いところです。このクルマの小売価格はどうかというと、今日つけた売価も日時の経過とともに仕入価格のように下がっていかなければなりません。ちょうど売価と仕入価格(オークション価格)が平行して下がっていくイメージです。このように平行して売価を下げていければ、このクルマは常に適正価格であるという事ができます。だから、売れていくのも早いでしょう。しかし、なかなか私達はそういうことができない。帳簿価格があるからです。売価が仕入価格と共に下がっていかなかければならないのに、帳簿上の簿価があるから、それを意識し売価を適正に下げられないんですね。これを原価病という。こうなってしまうと、適正な価格にすることを遅れ遅れになってしまう。それが原因で売れない、売れるには値引きが必要になる。そういうことです。値引きをしない、適正価格を常に貼ることができれば、クルマは売れていくんです。ですから、仕入れてきた次の日には原価を忘れなさいと私は常に言っております。間違っても『がんばるから(値引きを)買ってよ。』などと言ってはいけません。私がつけている価格は適正でないということを自ら宣言しているようなものです。そうやって売れても、お客様は『もっとがんばればよかった。高く買ってしまったのでは?』という意識が残ってしまうのです。長年続けてきて分かりました、値引きしないほうが売れるんです。価格は自社のサービス内容やレベルの総合的なものを踏まえたものでないといけません。総合的な価値よりちょっとだけ低く定価をつけるのが、爆発的に売るコツですね。中古車ビジネスは回転率が命ですから、常に回転を考えましょう。長く持っていて得なことは一切ありません。ということは業販の社内ルールも必要ですね。誰がやっても同じ価格で業販できるような仕組みを構築しておけば、長期在庫を発生させる原因は避けることができます。ルールを作れば社員はクールにしてくれます。原価病の最も重傷者は社長なんですね。まあ、損も利益のうちと考えて対処しないと中古車ビジネスで成功できません。ストレスは出て行く金に対して発生します。損はお金が出て行くということですからストレスが発生します。繰り返し買って頂くためにはアフターサービスの予算を予測して、計画し予算化しておけばストレスを感じませんし、気持ち良くアフターサービスに応じられます。今までに販売した実績をもとに年式、走行距離、販売価格などで、その後に発生したアフターサービス費を出すのです。これは1年以上の実績がある店であれば、出るはずです。そうするとこれくらいの商品だと販売後に発生するアフターサービス費はこれくらいだという予測がつきます。これにすべての台数での平均値を1台あたりのアフターサービス費として予算化しておけば、大体それ以内になってきます。最初からこれは利益に対して発生するものだと割り切っておけば、ストレスはなく、いいアフターサービスが可能になります。ちなみにひまわりコーポレーションでは利益の約3%がアフターサービス予算です。実際にはそれ以内におさまることが多いです。これも繰り返し買って頂く戦略に有効なものです。ひまわりコーポレーションではその他、返品返金制度を行なっております。2種類ありまして、1つは『いかなる理由でも返品を受け付けます。』というもの。もう1つは『走行メーター、修復歴車だった場合、返品返金します』というものです。実際に何台かありますが、どちらも台数的には少ないですよ。それよりもお客様に対する安心感の提供のほうが大きいと思います。それと宣伝効果も。『メーカー、ディーラーを上まわるひまわり保証』と宣言しております。新しいお客様は不安をもたれているわけですから、これらの返品返金制度は大きな安心感を与えるようです。これで安心感を得て頂き、当社で買って頂けたら、1人のお客様から発生する利益は潜在利益という考え方からしますと、膨大な利益があるのです。私の計算からしますと、1人のお客様と生涯のお付合いをするとする。実に450万円以上の利益があるというものです。(乗換え、車検、整備、板金、保険、ご紹介等)ですから、当初の利益なんか少なくても、マイナスでも販売しなければならないのです。つまり適正価格を常につけておくことがここでも有効になってくるわけです。ひまわりコーポレーションでは、2台目の購入を頂いてはじめて販売活動の完了ということになっております。結果、販売活動は生涯のお付合いということになります。生涯価値(潜在利益)を考えていくことが商人として最高であると思います。

氏田氏
今日は気合が入っていますね。すごい迫力です。そうですね中古車は値引きをすると本当にロスが多いと思います。私もあるとき、豊田さんに値引きはいけないという話を聞き、値引きをしないようにしてきました。例えば200万円のクルマを販売する際に4万円を引くと、2%を値引きしたことになります。10万円引くと5%になります。これは大きな数字ですね。年間で考えると膨大な金額を値引きしていることになります。ひまわりコーポレーションは年間30億円の販売をしております。とすると2%値引きをすれば6000万円、5%なら1億5千万円ですね。いっぺんに経常利益なんかなくなってしまうのです。このようなことをしていては利益をあげられないのは当然でしょう。ひまわりコーポレーションは毎年、所得ランキングに載ってきている。やはりこのような積み重ねが結果として出てきているのでしょう。値引きは1回やればどんどんエスカレートしますね。1度5万円を引いたお客様は次回も値引きをしてくれると思っている、次回は1回目より多くの値引きを期待してくる。当然のことです。誰もが自分は特別にあつかって欲しいんです。値引きを日常的にするようになると、売価を高くつけて値引きしろをつくります。するとカー雑誌で売れなくなる。スーパーインデックス(目次)を見て、お客様は安いところから行きますからね。この値引きによる差は、1年ではわからなくても、3年、5年と年月が経過しますと大きな差がついてしまいます。値引きをどんどんしている店はなかなか継続的に続いているところが少ないような気がします。あと少し、値引きをすれば売れるのに、それを我慢するのはとても苦しいことです。しかし、私達はそれをしなければならない。長く続ける商売を目指している以上、これは鉄則だということを忘れてはいけない。20数年前、生駒山のてっぺんから大阪中を見渡しながら豊田さんが言いました。『氏田さん、大阪は広いなあ。クルマこうてくれるところ、こんなにもあるで。私は必ず中古車ビジネスで日本一になるで!氏田さんもそう思ってるやろ?』と。豊田さんは自分の意識の中へそういうことを刻み込んでいるんだと思います。また、彼は言います。4千年続く企業をつくりたいと。私も40周年のときに社員に言いました。企業の寿命は30年だと言われてる、でもウチは100年続く会社つくるで!と。それを聞いた社員は思ったと思うんですよ。ああ、100年続ける会社なんや。そしたら、こんなことせなあかんし、こんなことお客様にしたらあかん。とか、意識がそうなると思うんですよ。ひまわりコーポレーションさんは4千年でとてもすごいですが、返品返金制度やエブリデイ・フェア・プライス、見てるだけステッカーなんかは、それを目指している上で当たり前なのかもしれないなと思います。返品返金なんかは、私がアメリカへ行って、あるスーパーを見たときに書いてるんですよ『You are our Boss.』と。ここの考えはこうです。返品返金したら100売って、10返ってくる。でもそれを恐れてはいけない。90になってもいいお客様が50増えてくれることにかけたい。そうすれば結果的に140の売上が見込めるのだから。まさに豊田さんもこれを実践しているわけです。

IFCは歴史ある団体で、1月に1回の会合を進めてきました。そんな中、GANという在庫共有をしておりますが、今後、BSN(ブルースターネット)とも協力、知恵を出し合いながらいっしょにできることもあるかもしれませんね。本当のいい在庫共有が実現できれば、その果たす効果は絶大だと思います。1社1社は小さくても、バックボーンに控えている力というか、奥行きはすごいものになりますよね。
小さな巨人といえるんです。私達はそこらへんの店とおんなじとちゃう、きちっとしてますということがアピールできる。そんなグループをしていきたいです。豊田さん、在庫共有は今後どうですか?

豊田
そうですね。あらゆるものがネットになってくると評価というものが非常に重要になるでしょう。今はオークションで評価点というものがありますが、これからは直接、お客様が理解できる評価点というものが必要になると思うんです。現在のオークションの評価点は4点とか、3.5点とかで、そのクルマの交換価値を表しています。交換価値とは相場上のお金での価値ですね。お客様は交換価値もありますが、使用価値を購入するときには見ているのだと思うんです。ですから、お客様には判断材料としてのお客様用評価点を業界あげて提供していくべきです。現在、お客様用評価点を採用している企業もありますが、十分だとは言えず、自分達の交換価値の域から脱していません。BSNではそれを構築しています。お客様に共通の判断材料を提供すること、これが私達のまずしなければならないことだと思います。また、最初のほうで言いましたが、"自立と共同"というものがいるのではないでしょうか?会社がうまく回っていくように、グループも同じルール、同じ方法を武器としてそれぞれが持ち、やっていかなくてはいけません。そうしないと自立してやっていけないのです。ですから、共同のものを作らないといけません。ぜひ、最初にこれを実現してください。
私は、いままでコツコツと小さなことを積み重ねてまいりました。それでやっと成り立っている程度のものです。積小為大(せきしょういだい)という言葉があります。二ノ宮金次郎(尊徳)先生が言った言葉です。コツコツやりつづけることが、やがて大きなものとなり、成果を出すという意味です。『百万石の米といえど粒の大にあらず、人一度にしてこれをよくすれば、己はこれを百度にし、人十度にしてこれをよくすれば、己はこれを千度す。』この言葉を常に忘れません。また、諸行無常ということばがあるとおり、やりつづけることで変化してきます。変化は進化なのです。少しづつの変化でも、長い目で見ればよりよいものになり続けます。これが進化であります。やりつづけることで小さなことに気づく、気づいたら、それをすぐ実践する。このくり返しです。


今日は大先輩方の前で、たくさんの無礼な言葉を申し上げましたこと、深くお詫び申し上げます。私、前で話しているとついつい熱くなってきまして。しかし、これだけは分かってください、私が今までやってきた中で、皆様にお役に立てることが1つでもありましたら、それをプレゼントさせて頂きたいという気持ちでお話させてもらいました。どうかご容赦頂けます様お願い申し上げます。本日は、ありがとうございました。
豊田昭博講演

2000年4月14日 大阪講演


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